先に述べておきますが、私はマツコ・デラックスのファンであります。

最初はまたオカマ・ゲイ系のタレントが出てきたもんだ程度にしか思いませんでしたが、彼女(私は尊敬の念をこめてそう呼びたいと思います)はあっという間にテレビ業界を牽引する人物となっていました。

セクシャルマイノリティのタレントは数多くいますが、ここまでの出世頭はいないのではないでしょうか。

これが20年前というと同じことは言えないと感じます。
日本はまだまだセクシャルマイノリティに対して寛容とは言えませんが、公にいわゆるカミングアウト(私はあまりこの表現は好きではありませんが)することができるようになっていることの多くの人々の感覚が変容してきていることがマツコ・デラックスの人気に少なからず影響を及ぼしていると思います。

ここ最近ですが「みなさんのおかげでした」で石橋貴明が演じるキャラクター、保毛尾田保毛男に批判が殺到しました。私はその当時のコントをまだ生まれてもいないので見たことはありませんが当時、お茶の間ではそのコントをみて面白おかしく見ていたことは間違いないのではないでしょうか。

時代は変わり、批判の対象となりうるところまで感覚は変わっているのです。


話を戻しましょう。
どうしてマツコ・デラックスがここまで活躍できるのか。

一つ目として、あのルックスと体型です。
日本人からは並外れた大きな体、そしてどこかエキゾチックさを感じさせる顔立ち。
私達は自然とミッキーマウスやキティちゃんのようなマスコットキャラクターのような一種の現実離れした偶像のように錯覚している様に感じます。
どんな人でも嫌悪感を抱きにくい人物であることは間違いありません。

二つ目は男性と女性の目線をフラットに持っているということです。
マツコ・デラックスは体は男、心は女といった人物です。
(彼女自身が自らを女装家と名乗っていることからも分かります)
彼女は本当に女性になろうとしているわけではないという点が重要です。
(ここは憶測なので確証はもてませんが、普段はジャージで外出しているという点からもそう考えられます)
そういったところから、彼女自身は男と女の二つの感覚を受け入れているのです。

そこにはどういったメリットがあるか。それは毒を吐いた時に嫌悪感や否定感が薄まるといった点です。異性に言われたらついカッとなってしまうことをマツコに言われても「確かに」と腑に落ちることはないでしょうか。
それは彼女がその感覚を持ってして感じたことをそのまま口に出しているからなのです。
「男に(または女に)この感覚が分かるもんか」という部分が取り除かれることで耳が痛いこともすんなりと受け入れてしまうという不思議な気持ちになるのです。

三つ目は一般人の感覚を持ち合わせているといったところです。
彼女は様々な番組で彼女は良いものには良いといいますし、悪いものにはきちんと悪いと言います。テレビは悪い事実はなかったことにしようとするか、別の良い点を無理やり持ってこようとする体質があります。
彼女はその体質を良しとせず、しっかりと自分が思ったことを言うのです。
彼女が美味しいといったものが売り切れ続出になるのはそういった部分が好ましく映っているのです。

私達が求めているのは美しく飾られた虚飾のレビューではなく、一人の人間の素直な感想なのです。


マツコ・デラックスが人気に成り得た理由はこういった点だと私は考えます。

体調を崩し、入院していたことも大きなニュースになりました。私も心配の念とともにマツコ・デラックスが芸能界の重要な人物となっているのを肌で感じました。

これからも一ファンとして活躍を期待しております。