ここ最近、衝撃的な事件として強いインパクトを残したこの事件。

9人のバラバラ遺体とともに生活をしていた犯人は常軌を逸したものです。


私はこの事件を知った時に思い出したのは園子温監督の「冷たい熱帯魚」という映画でした。
鬼才と言われた園監督の名作の一本だと私は思っています。

細かい物語のあらすじとしては主人公である小さな熱帯魚店の店主がある日、万引きを犯した娘を迎えに行くと、地域最大級の熱帯魚店を経営する男と知り合い、娘の更生のためにとアルバイトとして雇い入れます。元々、妻と死別し再婚をした主人公にとって新しい妻と娘の家族仲は最悪なものだったので申し訳ない気持ちを抱きながらも承諾します。

ここまではよかったのですが、ここから男は主人公をどん底へと突き落としていきます。
この男は詐欺まがいの熱帯魚ビジネスで金儲けをしており、金を渋るターゲットを殺害し強引に金をむしり取っていました。主人公は知らない間にその詐欺に巻き込まれ、遺体の処理を手伝わされます。

あらすじはざっとこんな感じです。
かなり凄惨なシーンや残酷なシーンがあるので一部の方は視聴に注意が必要です。
(また18歳未満は視聴できません)

この作品のなかで男は主人公に遺体の処理方法を教えるのですが、これは今回の事件のように遺体をバラバラにし、骨と肉に分けて処理するのです。(細かい方法は是非、映画で)

座間のこの事件が耳に入った時には「冷たい熱帯魚」のシーンが思い浮かんできました

このような凄惨な事件は二度と起きてほしくはありません。私が「冷たい熱帯魚」を紹介したのもこういった事件はどういった経緯で起きるのかというのをフィクションでも知っておくことが重要だと思うからです。


それ以上に、私が恐ろしいと思うのは事件の発覚がなぜこんなにも遅れてしまったのかということです。
人間一人の消息が突然消えてしまった時に心配する身内や友人はいなかったのでしょうか。
今回、事件が明るみになったのは被害者女性の兄が自殺を匂わせていた妹の消息が不明になったからでした。

どうして9人も犠牲にならなければいけなかったのか。

これは人間関係の希薄に起因するのではないかと考えます。

元々、自殺願望のある人々に犯人はSNSを通じて接触を試みていたようですが、かなり怪しいの一言に尽きます。もちろん生きることに絶望を感じた時にそのように手を差し伸べる人物に頼りたくなる気持ちも分からないこともありません。

しかし、それ以上にそんな状態になるまで周りの人間が対処することが出来なかった。そこが問題なのです。
多くの人はスマートフォンを持ち、SNSを通じてコミュニケーションをとることがかなり多いと思います。電車の中でも多くの人がスマートフォンの画面を見ている光景が当たり前です。

私達は顔を合わせて生の声でコミュニケーションをとる時間が確実に減っています。
その代わりにSNSで顔と実名を隠し、本音を語り合います。

目の前で友人が「死にたい」と言うのと、SNSで「死にたい」と書き込んでいたとしたらあなたはどちらに緊急性を感じるでしょうか。

言わずもがなだと思います。

私達はこのような事件が起きた時にどこか他人事のように感じている部分があります。
あなたの身近な人間も被害者になりうることの危機感を持たなければなりません。